カビキラーやカビハイターは部屋の壁紙や木材家具に使える?メーカーが作成した洗剤の用途とプロ専門業者がする工事施工クリーニング
市販カビ取り剤は
壁や天井に使えるのか
カビ取り専門業者の(一社)防カビ技研です。当研究所のカビ専門サイトをご覧いただきありがとうございます。
当研究所にこのような相談がありました。
- YouTubeやTikTok でカビキラーやカビハイターを薄めて壁紙や天井のカビ取りをしていたのですが使ってもいいのでしょうか。
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上記販売メーカーからの回答では「用途以外の使用はできません」という回答でした。少し内容がそれてしまいますが【トイレ洗剤のサンポールを販売している大日本除虫菊株式会社の公式サイト↗】では、サイトを観覧するとホップアップで注意喚起が表示されます。
そのため結論をお伝えすると業者以外は用途以外を使用は避ける。という回答になります。商品ラベルにも用途外の注意事項は一切記載されていません。
大失敗して大きな出費が発生する可能性があります
カビキラーやカビハイターを裏技的に紹介している動画やSNSでは「自己責任で…」と言っています。決して「責任を持ちます!」と言っていません。
掃除をする人の自己責任なので慎重に検討する必要がります。おそらく再生回数を稼ぐための利益目的なのでしょう。

「業者以外は…」と記載しましたが、事業者の場合は市販品を使って施工したとしても施工者に責任があります。責任があるので動画サイトで学んでいる可能性があるのです。

上記の画像は塩素系漂白剤を壁紙に使って塩素焼けを起こした画像です。拭き忘れが原因でした。
数多くの家庭用洗剤は「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」に沿って製造し「家庭用品品質表示法」に基づいて用途と注意事項の記載をしないといけません。

そして販売メーカーはその用途で最も効果出てるように成分を調整しています。例えば「薄めて使う」という記載がなくメーカー公式サイトにも薄めて使う方法が載っていない場合は、そもそも薄めて効果が出るように作られていません。

次に用途以外の注意事項は記載されていません。例えばカビキラーの注意事項には浴室へ使用する際の注意事項がかかれていますが用途以外の部分は一切載っていません。「用途以外には使わない」と書かれています。
よって浴室以外に対するリスクの記載が確認できないので失敗してしまうのです。

サンポールの「塩酸」、カビキラーやハイターの「次亜塩素酸塩」、食器洗剤の「界面活性剤」、浴室洗剤の「水酸化ナトリウム」など、すべての成分は汚れを落とすことと同時にリスクを伴います。
専門業者は成分のメリット・デメリットまで理解をしていますが、洗剤に慣れていない人は難易度の高い裏ワザを見るのではなく用途を参考にした方が失敗しません。
当研究所に相談があった事例
当研究所には月に2回ほど動画サイトやSNSの方法をして失敗した相談があります。その中でも多い内容を以下に記載します。
- カビが生えてしまったので動画をみて、壁紙に台所用漂白剤を薄めて使ったのですが酸っぱい臭いがするようになってしまいました。
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台所用漂白剤は文字通りつけ置きで効果を発揮できるものです。壁紙に生えたカビの場合は菌糸を多孔質内に伸ばしているので、この素材まで浸透できる濃度と成分が必要です。おそらく悪臭が発生した原因は細菌が除菌されずに残ってしまったのだと思います。
- 泡タイプのカビ取り剤を壁に使ったのですが、すぐに再発してしまいました。
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スプレーしたときに泡を発生させるには大量の界面活性剤が必要なので、その界面活性剤が壁紙に残っている可能性があります。浴室の場合はシャワーで洗い流せるので簡単ですが、部屋の場合は何度拭いても残り続けます。その界面活性剤は乾燥するとべた付きが発生するのでホコリ・チリが付着してカビが再発したのだと思われます。
- 動画サイトを見てベージュの壁紙に漂白剤を使ったのですが色落ちしてしまいました。
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カビは菌糸・胞子・色素の3つを除去できれば綺麗になります。このうち色素は塩素剤の分解作用がないと落ちません。しかし色素が分解できると言うことは製品の着色剤まで分解してしまうので変色してしまいます。
- ジェルタイプのカビ取り剤を壁紙に塗ったのですが変色してしまいました。
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壁紙に塩素剤が付着して拭き忘れなどをしてしまうと塩素焼けという現象で変色してしまいます。カビ取りジェルは液タイプよりも乾燥しにくいので塩素焼けを起こしやすい特徴があります。そのため用途に記載されている通りゴムパッキンやタイル目地などにお使いください。
- 動画サイトを真似して漂白剤を使ったのですがカビが全く取れません
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もしカビ取り剤を使ってこのような「青あざ」ようなシミが残った場合は、残念ですがカビ取り剤1本では除去できません。
これは壁紙の裏側にある下地にカビが生えているので壁紙を剥がす必要があります。
ご自身では難しい作業だと思いますので、当研究所または専門業者に修繕リフォームの相談をお願いします。

さらに上記の内容を相談されても洗剤の用途に載っていない内容なので、除去するために使用した洗剤の濃度、放置時間、使用方法などが不明です。例えば泡タイプのカビ取り剤を使ったあとに、非塩素タイプのカビ取り剤を使うと成分同士が打ち消し合うことがあります。
そのため適切な回答ができないことがあります。
カビの危険有害性と食物連鎖
カビは胞子が着床して発芽し、菌糸を伸ばして胞子を作ります。その胞子を周辺に飛ばすので規則性のない斑点状に広がります。

ある種のカビはガス状物質とカビ毒を放出するので、その危険性を微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)と呼んでいます。

そしてカビが生える場所には高確率で細菌も存在しています。

カビを除去しなければカビを捕食する「シロアリ・チャタテムシ」などが発生するので必ず対処しなければいけません。しかし濃度が不十分だと細菌が除去されないので酸っぱい臭いや生乾き臭が発生します。

細菌の代謝物はカビの影響になるので、カビが再び発生してしまう原因になるのです。
使用する洗剤の濃度は非常に大切です。ですが強すぎると素材が傷み、弱すぎると菌が残ってしまいます。そのためカビを除去するときは洗剤の用途を守って使用しましょう。