カビを取るときの裏技/この掃除術を知れば部屋や家具の黒カビ・青カビを最強クラスに除去できます/カビ取り剤で落とす方法と使い方

カビ取り業者(一社)防カビ技研のカビ専門サイトをご覧いただきありがとうございます。

今回は部屋の壁紙や木材・畳にカビが生えたときに素材へのダメージを考慮しながらカビを除去する方法をお伝えします。※お風呂ではあまりメリットのない方法です。

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培養したカビの画像があるので苦手な人はご注意ください。

なぜ、頑固で落ちにくいカビがいるのか

こちらのページでお伝えしている【物理的に取れないカビ↗】を除いて、基本的にカビ取り剤がカビに直接かかっていれば除去されます。

しかしゴムパッキンや木材に生えた黒カビのように、とても落としにくいカビがいることも事実です。

カビは菌糸を伸ばして素材の内部に入り込みます。そこにカビ取り剤を使っても素材自体が浸透の邪魔をしているので落としにくいのです。

他にも、カビの死骸は水分量が減って取れなくなることがあります。

洗剤とは汚れに水分が多いほど落としやすい性質があるので、五徳に付く真っ黒な油汚れのように乾燥すると固くなって取れなくなるのです。

カビ取り剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムには対象物を溶かす作用(酸化)があります。しかしこの成分だけでは表面張力によって浸透が遅れてしまいます。

そこで界面活性剤の水と油を混ぜ合わせる作用(乳化)で表面張力を下げて、カビが保有している水分に入り込みます。すると毛細管現象のように洗浄成分が入り込むので黒カビでも綺麗に除去できるのです。

しかし死滅して硬くなったカビには水分量が少ないので、界面活性剤が浸透できる水分や油分が足りません。そのため五徳の真っ黒な油汚れと同じように除去に時間がかかるのです。

また今回の課題である部屋に生えるカビはお風呂のカビと違って全体的に乾燥しているカビです。

カビ取り剤を使う前にある行為をしないでスプレーしても、表面張力によって弾かれて掃除に時間がかかってしまう場合があります。

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カビ取り剤の主成分と界面活性剤の他に含有されているものは洗浄補助剤といいます。例えば次亜塩素酸ナトリウムが急激に消耗してしまうことを補助剤が緩やかにしています。即座に分解してしまったら菌糸に届く前に効果がなくなってしまうからです。

この補助剤が各メーカーによって違うので洗剤には「用途」が決まっています。

上記の解決策はカビ取り剤を使う前に水拭きをすることです。

カビを軽く水拭きすることで、カビの水分量がアップするのでカビ取り剤の浸透力が向上します。

またカビは植物に似ています。植物を育てた経験がある人はわかると思いますが、水を上げると数時間後には元気になっていると思います。これは土にある栄養を水分と共に吸収するためでもあるのです。

そして同じ状況がカビにも起こっています。

突然の水分にチャンスと感じたカビは水分を使って栄養を吸収しようと活性化します。その時にカビ取り剤を使えば洗浄成分も同時に浸透できるので強力に除去できるのです。つまりカビを騙してカビ取り剤を吸収させるのです。

スプレーする場合の注意事項

塗り壁(漆喰や珪藻土)の場合は水拭きができないので水道水をスプレーする方法でも構いませんが、カビが乾燥していると表面張力で弾かれてしまうので、弾かれた衝撃で胞子が飛散しないようにゆっくりと吹きかけてください。

浸透剤がなかなか入り込まない頑固カビの場合は、すでに生きていない表面の固い細胞を崩せばいいので、歯ブラシなどで優しく擦るとカビ取り成分が染み込みやすくなります。

この行為は乾燥した食品汚れをスポンジでゴシゴシ擦ることに似ています。

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今回紹介した内容はあくまでも部屋に生えたカビです。浴室やキッチンの水が好きなカビは水分量が多いのであまり意味がありません。また洗剤自体が薄まってしまいます。しかし以下2つの内容はすべての素材に対して適用するのでご覧ください。

塩素臭が発生する理由はカビ取り剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムが、カビを退治する際に発生する塩素臭に原因があります。

次亜塩素酸ナトリウムはpH12.5±0.5ほどのアルカリ性物質です。アルカリの時はとても安定しているので塩素臭はしません。

そしてカビには弱酸性の種類が多いので、カビ取り剤をスプレーすると次亜塩素酸ナトリウム・安定化剤が反応して緩やかに中性へ近づきます。

しかしカビ以外の汚れにも弱酸性物質が多いことを忘れてはいけません。次亜塩素酸ナトリウムがカビ以外の汚れにも反応するので、通常よりも多くのpH値が下がることで分解が進みツンとする塩素臭が発生するのです。

よく「まぜるな危険/酸性洗剤との混合を避ける」と記載されている理由は、酸性洗剤と混ぜると急激にpHが酸性になって瞬間的に大量の塩素臭が発生するので危険なのです。

つまり塩素臭を軽減する方法は、カビ取り剤を使う前にカビ以外の汚れを落としてから使えばいいのです。

そのため水拭きをするだけで、カビ以外の汚れが回収されるので作業中の安全性が向上します。

浴室の天井や部屋の壁に洗剤をスプレーしたときに、この現状を体験したことはあるでしょうか。

これはカビ取り剤以外の食器洗剤・浴室洗剤・重曹・クエン酸でも起こる現象で「○○焼け」と言います。

例えば浴室洗剤をお風呂の天井にスプレーすると液剤が垂れると思います。

この垂れた跡を拭かずにそのまま放置すると、その部分だけ変色した状態になるのです。他にもボトルの下に洗剤が付いたことに気付かず数十分置いたとき同様の変色が発生します。


  • 塩素系漂白剤=塩素焼け
    • 漬け過ぎてシャツや襟・袖が黄色くなる
  • 酸性洗剤=酸焼け
    • 鏡など酸性洗剤を使って失敗したとき
    • 大理石などに使ったとき
  • アルカリ洗剤=アルカリ焼け
    • 天然繊維が傷んだとき
    • 木材が黒くなったとき
  • 様々な洗剤=洗剤焼け
    • 垂れシミ・輪染みなど

乾燥している素材の表面は様々な成分の作用を直接受けてしまうので表面が変質して変色します。一度でも跡が付くとなかなか改善できません。

(しかし素材によっては時間の経過と共に消えるものがあります。上記画像の塩素焼けは一週間経つと消えました)

つまり洗剤が直接素材へ作用してしまうのを避ければいいので、初めに水拭きをして水分を付ければ洗剤焼けを少し回避できるのです。

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この水養生は現在トイレでも活用されています。水がかかることで陶器に水の膜ができるので便が綺麗に流れるのです。水養生は長時間回避できるわけではありませんが、掃除中は何が起こるかわからないので水養生をしておくと安心です。

水拭きをする際のデメリット

水拭きをするメリットは、カビ汚れに水分を追加することでカビ取り剤の浸透力を向上させて落としやすくできることでした。デメリットは水回りなど常に濡れている場所をさらに濡らしてしまうと、洗剤自体が薄くなって洗浄力が下がってしまうのでご注意ください。

ただし塩素臭を減少させたいときや、素材の「塩素焼け」を防止したいときは水養生をした方がいいでしょう。